Jun 27, 2010
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◇「力相撲多く、見応えあった」
無料公開される大相撲の技量審査場所の初日となった8日、東京・両国国技館(収容定数約1万1000人)には、1万人近い相撲ファンが訪れた。NHKの中継はなく、しこ名を書いたのぼりも、土俵上を巡る懸賞幕も登場しない「異例の場所」。関取や付け人の携帯電話一時提出など八百長再発防止の試みと共に、「国技再生」を目指す正念場の取り組みが始まった。
◇力士の携帯提出/支度部屋に「監視親方」
2月の「八百長メール」発覚後、3月の春場所は中止となっており、場所開催は4カ月ぶり。この日、国技館には早朝から当日券を求める約400メートルの列ができ、「砂かぶり」と呼ばれる土俵下は、日本相撲協会を長年支援してきた「維持員」たちで埋まった。
節電のため館内の照明が4割カットされ、酒類販売も中止。そんな中、約20年間維持員を続けている東京都昭島市の建設業、星野宗保さん(75)は、ペンを走らせながら観戦した。
取組表に記したそのメモには、力士がマナーを守っているかも書き込んだ。「相撲を愛する者として、時には苦言を呈さなければ」との思いからだ。
「仕切りやあいさつは以前よりきちんとしていた」とほっとした様子の星野さん。「今までは『仲良しクラブ』の雰囲気もあったが、今日は土俵際まで追い込まれてから逆転する相撲が多く真剣勝負をしていると感じた。こういう相撲を続けてくれるならば、これからも見に来たい」と語った。
八百長問題で25人の力士・親方が角界から追放された影響を受け、十両以上の取組は普段より8番少なかった。砂かぶりで観戦した神奈川県大和市の会社員、中川雅弘さん(57)は「番数が少ないのは寂しかった」としつつ、「力相撲が多くて見応えがあった。残った力士がいい土俵を見せて場所を盛り上げてくれた」と評価した。
一方、入場時に携帯電話の提出も求められた力士たち。支度部屋には監視にあたる親方も配置され、横綱・白鵬は「親方がいて引き締まった雰囲気になった」と緊張感をポツリ。この日は敗れた前頭・旭天鵬は「一人一人に拍手や声援があってジーンときた。(土俵は)いいなと思いました」と振り返った。
初日を終えた後、貴乃花審判部長(元横綱)は「攻防のある相撲もあった。力士の目の色が違った」と語った。日本相撲協会によると、協会ホームページでの取組のインターネット中継は、最大同時アクセス数が約9000件に達した。野球賭博事件の発覚に伴いNHK中継がなかった昨年名古屋場所と同程度という。【柳澤一男、袴田貴行、飯山太郎】
◇好角家、辛口 処分優先すべきだった/当分、風当たり強い
相撲通で知られる好角家からは厳しい意見も出た。
漫画家、やくみつるさんは動画サイトで観戦。相撲内容については、携帯電話の画面から判断するのは難しいと論評を避けつつ、「問題は最終的結論には至っていない」という放駒理事長のあいさつに疑問を示した。「開催前に八百長問題をきちんと解決し、当事者の処分を優先すべきだった」と指摘し、「今回をクッションに、次の名古屋場所も開き、相撲協会や関係者が(八百長問題という)過去に言及しなくなる気がする。相撲ファンは割り切って取組を見たいのだろうが、子供を含めたこれからファンになろうとしている世代にとっては不幸だ」と語った。
落語家の桂歌丸さんは、今後について「とにかく誠意を見せるしかない。信用を落とすのはあっという間だが、取り戻すのは何年もかかる。当分風当たりは強く、普通に相撲を取っていても八百長じゃねえかと言われることも覚悟しないと」と厳しい道のりを予想。
一方で「協会は外部から人を入れて再生に向けた取り組みをやっているが、主になるのは力士たちなので、ファンが戻ってくるまで努力を続けなくてはいけない」と力士の奮闘に期待した。
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東日本大震災の被災地、岩手県大船渡市で全壊家屋などのがれき撤去が進む一方、床上・床下浸水の津波被害を受けた住宅は泥や土砂、ごみの片付けが遅れている。行政による重機を用いたがれき撤去と違って、片付けはボランティアらの人手頼みだが、受け入れ制限の影響でボランティアも足りない。片付けが済まなければ暮らしは取り戻せないが、後回しを強いられているのが実情だ。【徳野仁子】
大船渡港から約2キロ、津波が運んだ魚の腐臭が漂う同市盛町。夫(59)と2人暮らしの中村秀子さん(55)宅の庭は、窓ガラスの破片や干からびたタイ、殻付きのエビが交じる大量の泥に埋もれていた。
作業着に長靴姿で滋賀県湖南市の公務員、福井進さん(48)ら8人のボランティアが泥をかき出し、ガラスなどを回収、消毒用の石灰をまく。中村さんは「本当に助かります」とホッとした表情。約4時間で作業は終わった。
中村さん宅は2メートル近い津波で1階がほぼ水没したため、大船渡市三陸町綾里(りょうり)の夫の実家に避難中。「主人は退院したばかりで重い物が持てない。1人でどう手をつけたらいいのか」。そんな時、市災害ボランティアセンターを知り、支援を依頼した。
福井さんは「これだけ被害が広いと行政だけでは片付けきれない。少しでも役立てたら」と話す。その様子を見た近所の人たちから、依頼が舞い込む。
2階まで浸水し、床板や天井板は自力ではがした菅崎正人さん(70)和子さん(66)夫婦は「2人でやってきたけど限界」▽トラック運転手の次男(28)と2人暮らしの紀室美智代さん(58)も「息子が仕事に行っている間に、と思うんだけど、だんだん疲れてきて」▽中村さん宅の斜め前に住む男性(75)は「人工透析をしていて力仕事が難しい」。
約25年前から宅地開発されたこの地域は、50〜70代の夫婦や1人暮らしが多いため、自力での片づけは難しい。仕事や学校がある世代は日中はいない。
大船渡市によると、同様の床上浸水は500件以上とみられる。一方で、ボランティアの受け入れは宿泊場所と交通手段を自力で確保できる人か、日帰りできる人に限っている。このため平日1日当たりで70〜80人、派遣先も避難所の救援物資の仕分けなどを中心に15件前後にとどまる。ボランティアセンターで調整役を務める近藤和子さん(43)は「住民に利用してほしいけれど、派遣できる人数とのバランスが難しい」と実態を語っている。
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